インドで始まる恋なのに

インドのグルガオンに住む25歳が、ビジネスのことや美味しいレストランのことなどざっくばらんに、現地のリアルをお届けします。

インド版Airbnb ”RoomnHouse” の挑戦

f:id:shotarosuzuki:20140720135337p:plain

The Economic Timesによると、インド版AirbnbRoomnHouse”が1,700万円を資金調達したようです。RoomnHouseは2012年11月創業。サービス内容は、タイトルと冒頭で「インド版Airbnb」と表現した通りAirBnBと同モデルです。”宿泊先を探しているユーザー”と”宿泊先”をマッチングさせるマーケットプレイスを手掛けています。ちなみに、調達した1,700万円は、主に①宿泊先掲載数の獲得と②スマホアプリの開発に使われ、それによりさらにユーザー数を伸ばそうと目論んでいるよう。

ただ、言わずもがな、現段階では宿泊先掲載数、ユーザー数共にAirbnbの圧倒的勝利。

実際にインドの観光地ジャイプールの宿泊先の掲載数を検索してみたら、

  • Airbnb→250
  • RoomnHouse→40

と、両者の掲載数にはかなり大きな開きがあり、また価格帯も両者さほど変わりませんでした。上記から鑑みると、ユーザー数もAirbnbも圧倒的に勝利していると予想できます。

このような状況下でRoomnHouseはどのように事業を展開していくのか。調達した資金をどのように活用していくのか。

もし、Airbnbとうまく差別化をし売り上げを伸ばすことが出来た場合、Eマーケットプレイス新規参入者のロールモデルに成り得る存在なので、今後も注目していたいと思います。

参考記事

 

インドNo.2のEマーケットプレイス”Snapdeal”が、ベビー用品市場で仕掛ける

Flipkartに続き、インドでNo.2の規模を誇るEマーケットプレイス”Snapdeal”。2010年に創業以来、既に約4.35億ドル(約435億円)を調達しており、今年は売上高10億ドル(1,000億円)を見込んでいるとのこと。売上1,000億円といったら、日本企業だと株式会社サイゼリアや株式会社ブルボンと同じぐらい。創業5年目にしてインドを代表する会社の一つになっています。

f:id:shotarosuzuki:20140719024637p:plain

そして、今回Snapdealが目を付けたのが、成長著しいインドのベビー用品市場。現在、インドの乳幼児(0-2歳)の数は5,000万人に上り、ベビー用品(アパレル、靴、おもちゃ、日用消費財等)の年間売上高は2012年に118億ドル(1兆1,800億円)であり、2017年には262億ドル(2兆6,200億円)になると見込まれています。

昨年9月(2013年9月)には、Amazon.inも「toys & baby products」という新カテゴリーを創設するなど、インドのECサービスはこぞってベビー用品市場をとりにいっています。

f:id:shotarosuzuki:20140719024605p:plain

そして、Snapdealもご多分に漏れず、ベビー用品市場をとるために、新しいプログラムを開始。その名も、「SD Kids programme」。

子供を持つ親が、子供の名前と生年月日をSnapdealに登録すると、その子供の年齢毎にふさわしい商品をSnapdealがメールでお知らせしてくれるシステムになります。Snapdealは、「初めて子供を持った親は、子供のために何を買っていいか分からない。だからSD Kids programmeに登録する親も多い」と仮説を立てているようです。実際に、1週間で300人の子供の登録があったとのこと。Snapdealは今Q中に10,000人の子供の登録を目指すと意気込んでます。

Snapdealの狙いは、子供の成長過程に応じた購買行動をトラッキングし、それをマイニングすることでお客様へのレコメンドの精度を上げ、売上増加につなげることです。また、ベビー用品に限らず、子供の成長に応じて各分野で、そのデータは有効活用されることでしょう。

本事例のような、インドにおけるビッグデータビジネスには計り知れない可能性を感じた次第であります。

参考記事:

 

設立2年目のスタートアップ”TravelTriangle”は、インド旅行業界をDisruptできるのか

f:id:shotarosuzuki:20140718012819j:plain

最近、本ブログでもよくテーマとして取り上げている、インドのEマーケットプレイス市場。今回は、インドEC市場の全売上の大半を占める旅行サービス領域にて立ち上がったスタートアップを紹介します。

まず前提として、インド旅行産業の市場規模は現在約100億ドル(約1兆円)であり、2020年には約300億ドル(約3兆円)まで伸びると予想されています。そして、そのビッグマーケットに、Eマーケットプレイス型で参入し成功を収めた代表格がMakeMyTripです。MakeMyTripは、航空券の予約をEマーケットプレイス型で手掛けることで売上を伸ばしました。

f:id:shotarosuzuki:20140718012953p:plain

ただ、まだ宿泊先の予約サービスや航空券+宿泊先のようなパッケージサービスをオンライン上で提供出来ているプレーヤーはまだ少なく、Thomas CookKuoniなどの実店舗での販売がメインの老舗プレーヤーが大きなシェアを誇っています。

そこで、「オンライン化すべきだが、現在オフラインが主流になってしまっている」という大きなギャップ(ビジネスチャンス)に目を付けたのがTravelTriangleです。

f:id:shotarosuzuki:20140718013052p:plain

TravelTriangleは、”旅行者”と”現地ローカルの旅行代理店”をマッチングさせるEマーケットプレイスで、航空券だけではなく現地の宿泊先等含めたパッケージサービスを手掛けています。インド工科大学を卒業した3名の秀才が創業した会社で、設立2年目にして年間350万ドル(3億5,000万円)の収益が見込まれています。

そして、最近、MakeMyTripにも出資をしたことのあるSAIF Partnersが1,000万Rs(1億7,000万円)をTravelTriangleに出資したとのことです。

インターネットユーザーの増加、スマホユーザーの増加、平均所得の増加などなど、インド旅行産業における取引がオンライン化されていくのは確定事項に近いです。そのオンライン化をいち早く進めるのはTravelTriangleなのか、それともMakeMyTripなのか、それとも新進気鋭のスタートアップなのか、引き続き注目していたいと思います。

参考記事:

インドにおける特化型Eマーケットプレイス”Tolexo.com”に見る、無限の可能性

f:id:shotarosuzuki:20050220183251j:plain

先月(2014年6月)にローンチされ、Tech In Asiaが注目する24のアジアンスタートアップでも紹介された新進気鋭EマーケットプレイスTolexo

現在、インドではEマーケットプレイス市場が非常に伸びており、既に60以上ものEマーケットプレイスが存在する。ただ、まだまだ本市場における新サービスの参入はとどまることを知らず、特に商品群をニッチに絞った特化型Eマーケットプレイスサービスで本市場に躍り出ようとするプレーヤーが多い。

Tolexoもその特化型Eマーケットプレイスの一つであり、Tolexoが手掛けるのは、”工業用や建設用の道具の売り手”と”エンジニアリング会社”のマッチングである。少しビジネスモデルは異なるが、インド版イプロスのようなものだ。まだサービスローンチから1ヶ月も経っていないが、既にTolexo.comには100の売り手の50,000個もの商品が掲載されているとのこと。ちなみに日立製作所もクライアントだとか。

Tolexoを率いるのは、今から18年前にインドで初めてBtoBのEマーケットプレイスを展開したIndiaMARTの創業者の一人であるAgrawal。FlipkartやAmazonのような何でも屋さんであることよりも、特化型Eマーケットプレイスであることに勝機を見出し、本サービスを手掛けたとのこと。

ちなみに、IBEFによると、エンジニアリング会社への技術支援マーケットの市場規模は2020年には370億ドル(3兆7000万円)まで伸びると予想されるビッグマーケット。むしろ、国の施策として、2017年までにインフラ整備に88兆円投下すると言っているので、もっと大きくなりそうだが。

インドは現在、2012年4月~2017年3月までの「第12次5カ年計画」期間にある。具体的な施策として、インフラ分野に官民資金約51兆ルピー(1ルピー=1.73円換算で88兆2300億円)が投下される予定であり、これは前回の第11次5カ年計画の約2倍となる。重要分野は電力、鉄道、上下水、港湾、空港など多岐にわたるプロジェクトが予定されている。

インド、17年まで88兆円投資 新興国のインフラ開発 :日本経済新聞

また、今月(2014年7月)に発表されたモディ新政権の予算案には、七つの新産業都市の整備、1万4000キロメートル超のガスパイプラインの設置、16の港湾の創設、都市部の鉄道整備、8000キロメートルの幹線道路建設といった、インフラ整備へのコミットメントが今までよりも強く感じられる。これは、Tolexoからしてみればかなりの追い風になるだろう。

f:id:shotarosuzuki:20140717014546p:plain

最後になるが、たしかにTolexoの目の付け所は素晴らしい。市場規模も非常に大きく且つ急成長も予想でき競合プレーヤーもいない。そのような状況下では成功確率も非常に高くなるだろう。ただ、僕がより強く思ったのは、「やはりインド市場はすごくエキサイティングだ」ということだ。まだまだ多くのビジネスチャンスがインド市場には眠っている。現に、このエンジニアリング会社への技術支援に特化したEマーケットプレイス市場には、つい先日まで主要プレイヤーがいなかったのだから。

参考記事:

 

"Uber vs Olacabs" インドで勝つのはどっちだ

f:id:shotarosuzuki:20140715205352p:plain

破竹の勢いで成長し、現在41ヶ国でサービスを展開しているUberが、遂にインドマーケットでも本腰を入れ始めた。2013年にインドに進出して以来、Uberの代名詞であるメルセデスベンツBMWなどの高級車が送迎するライン「Black」を展開してきたが、インドのユーザーからはその高価格帯のサービスは受け入れられず。そこでUberは「UberX」という庶民派向けのラインを今年6月から展開し始めた。「UberX」がインドのユーザーに受け入れられるかどうかは、今後を見守ろうと思うが、Uberの前には巨大なライバルが存在するので、一筋縄ではいかなそうである。

そのライバルとは、インドで2010年に創業されたOlacabs。CEOは、インド工科大学を卒業しマイクロソフトで2年間働いた後に創業したBhavish Aggarwal。タクシーが時間通りに来なかったり、ぼったくられたりした自身の経験をもとにし、「こんな思いは他の人々にはさせたくない」とOlacabsを創業したそう。サービス内容は、ほぼほぼUberと一緒で、自社でタクシーを保持したりタクシー運転手を雇うのではなく、マーケットプレイス型で”どこかに行きたいユーザー”と”タクシー運転手”をマッチングさせるサービス。

現在のインドタクシーマーケットの市場規模は60億ドル(約6,000億円)~90億ドル(9,000億円)であり、これからも成長著しい分野。グローバルベンチャーUberとローカルベンチャーOlacabsのどっちがこのマーケットで勝利をおさめるのか。まずは現時点の数値をまとめてみようと思う。

f:id:shotarosuzuki:20140715214429j:plain

現時点ではOlacabs圧倒的勝利

結論を先取りしたが、現時点ではOlacabsが圧倒的に優位。やはり現地企業が故に、現地人のニーズに的確に捉えられているようである。それでは細かく見ていこう。

価格帯
Olacabs:最初の8kmが200Rs(340円)で、それ以降は18Rs(30円)/km
Uber:50Rs(85円)が基本料金で、スタート地点から20Rs(34円)/km ※UberX

進出都市数
Olacabs:11都市
Uber:6都市

タクシー保有台数
Olacabs:11,000台
Uber:1,320台

予約手段
Olacabs:HP、電話、スマートフォンアプリ
Uber:スマートフォンアプリ

ざっと、こんなところである。進出都市数、タクシー保有台数どちらを見ても、Olacabsの圧倒的勝利であり、勝因は何かと言うと繰り返しになるが、Olacabsがユーザーオリエンテッドであることが挙げられる。具体的には予約手段のバリエーションにそれが顕著に表れている。インドでは携帯電話保有者は10億人近くいるがスマートフォン保有者は1億人にも満たない。そのような状況下、予約手段がスマートフォンアプリのみであるUberが優位性を保てるはずがない。

ちなみに、OlacabsCEOのAggarwalは、全く海外展開に興味が無いと語っている。「なぜ12億人の市場が目の前にあるのに、わざわざ世界に出なくてはいけないのか。」それが彼の態度である。今後、Olacabsはさらにローカライズを進めていくであろうし、そんな中Uberがシェアを取るのは難しいように、僕は思う。

と、まあここまでは、Webにある英文記事をもとに書いてみただけ。このブログの醍醐味は、「実際にやってみた」的なコンテンツだと勝手に思っているので、実際にOlacabsの使ってみることにした。

HPで、出発地と目的地を入力。

f:id:shotarosuzuki:20140715203812p:plain

インド人は時間に遅れることが多いが、ちゃんと時間通りに到着。

f:id:shotarosuzuki:20140715135948j:plain

出発前には、走行距離を計算するため、スマホで現在地をチェック。

f:id:shotarosuzuki:20140715134859j:plain

目的地に到着したら、しっかり清算。インドではぼっくられることがよくあるので、このようにメーターで清算してくれるのはすごく嬉しい。

f:id:shotarosuzuki:20140715135734j:plain

以上、めちゃくちゃ快適にサービスを受けることが出来たので、今後もOlacabsは使い続けようと思う。

最後になるが、Uberはインドでヘリコプター手配も開始したとのことなので、こちらも実際に利用してやろうと思っている次第である。

f:id:shotarosuzuki:20140604114623j:plain

参考記事: