インドで始まる恋なのに

インドのグルガオンに住む25歳が、ビジネスのことや美味しいレストランのことなどざっくばらんに、現地のリアルをお届けします。

スポーツ推薦の無い偏差値70弱の公立高校、市立浦和サッカー部が強い理由

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↑キックオフ直前のイレブン(浦和フットボール通信)

本ブログは市立浦和サッカー部OBが、2014年の全国高校サッカー選手権 vs.初芝橋本選を観戦した後に衝動的に書き留めたものになります。

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↑試合終了後の電光掲示板(筆者撮影)

本日(2014年1月2日)、母校である市立浦和サッカー部が全国高校選手権の初戦に挑み見事勝利をおさめました。本校サッカー部は過去にも何度も全国大会に出場しており、僕自身も当時スターティングメンバーとしてインターハイ等に出場した経験もあったので、ごく当たりまえのように「市立浦和サッカー部って代々強いよなー」と思ってましたが、さっきふと大学で出会った彼女から「なぜ市立浦和サッカー部は毎年毎年勝てるの?」と聞かれたのに対して、「たしかになんでなんだろ」と返答に困ってしまったので、簡単にですが思い浮かんだことをつらつら書いていきます。

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↑埼玉県大会決勝戦勝利後の歓喜(ゲキサカ)

まず、市立浦和という学校についてあまり詳しくない方もいるかと思いますので、簡単にポイントをまとめます。


・公立高校なので、スポーツ推薦が無い
・偏差値が68
・県内で最も人気のある高校である(埼玉県、高校進学調査発表…倍率トップは「市立浦和」3.13倍 | リセマム)

 

上記を踏まえると、「市立浦和サッカー部が強い理由」を考えるにあたって下記が前提条件となりそうです。

・入学するためには、サッカーの能力の有無は関係なく人並み以上の学力が必要である
・”市立浦和サッカー部”のみが人気なのではなく、”市立浦和高校自体”が人気なので、そもそもサッカー部員の数すら担保出来ない可能性がある

ちなみに、私立高校の場合はサッカー推薦枠があるので部員数も能力面もある程度担保することが可能。また、その他の公立高校の場合はその高校の”サッカー部”のみがブランディングされているケースが多いので、受験者の中でもサッカー部入部希望者の占有率が高くなっていると思っています。(※ここはデータがないので推測の域を脱しませんが、おそらく正しいでしょう)

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↑過激な盛り上がりを見せる市立浦和体育祭(Twitter)

以上のことを踏まえると、新入部員ひとりひとりの能力は他の高校サッカー部のそれと比べると劣っている可能性が高く(少なくとも抜群に優っていることは絶対にないです)、それでも高校サッカー選手権のような大きな公式戦で成績を残せているのであればそれは、入学後に大きな要因が隠されているのでないかと予想できます。

そしてその際に、入学後を下記のように2つに分けて考えると


1)公式戦当日までの月日
2)公式戦当日


1)において最大限成長し、2)において自分のたちの持てる力を最大限発揮できるからこそ、市立浦和サッカー部は大きな公式戦で勝てるのではないかと考えたわけです。

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↑県内屈指の倍率を誇る入学試験を突破し、サッカーにおいても結果を残したイレブン(浦和市立高校サッカー部OB会)

それでは、1)公式戦当日までの月日2)公式戦当日について細かく見ていこうと思います。

もちろん色々要因はあるかと思うので、下記が全てではないと思いますが、まず1)公式戦当日までの月日においては、もっとも大きな要因は下記でないかと思います。

地頭が良く吸収力があるため、成長スピードが速い

一概に地頭の良さと成長スピードは比例関係にはないと思いますが、一つ興味深い事例として、”大学ラクロス部のリーグランキング”があります。そもそもラクロスというスポーツは、高校時には部活として存在しなく、99%近くの部員が大学から始めるスポーツなので、

①スポーツ推薦が無くほとんどの選手が一般入試で入学しているので、学校の偏差値を見ることである程度部員の地頭レベルの概算が出る 

②入部時の個人スキルは0に近しいので、入部後の成長度合いがそのままチームの強弱に反映される

といえると思います。そして、実際に下記が今年度の男子ラクロス部の全国大会のランキングになっているのですが、見ての通り偏差値の高い大学が並んでいます。
1位:慶應義塾大学
2位:京都大学
3位:北海道大学岡山大学

よって、ある程度地頭の良さと成長スピードは比例関係にあるのかなと思うわけです。

ただ、そう言うと、「じゃ、他の偏差値の高いサッカー部も勝てるようになるはずじゃん!」という反論をいただきそうですが、やはり部員の能力を最大限に引き出すためには監督の指導力が非常に重要であり、その点市立浦和サッカー部の監督である池田先生の指導力は本当に素晴らしいものであるというわけです。

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↑試合後のインタビューに答える池田先生(浦和フットボール通信)

次に、2)公式戦当日においてですが、一番大きな要因は下記でないかと思います。

試合に出ている選手/チームが多くの人々から愛されているので、多くの応援を受ける事が出来、それによって選手が100%あるいは120%のプレーが出来る

僕自身も、当時は埼スタ駒場スタジアムで全校応援の中でプレーしたことがあるので実感値として認識できているのですが、あの雰囲気の中でプレーすると一秒もサボれないですし何が何でも自分が持っているもの全てを使い切ろうと思うわけです。本日の試合に出たメンバーもそう思ったことでしょう。

そして本日の試合は、メンバー外のサッカー部員、サッカー部以外の現役市高生、サッカー部OBOG、そしてサッカー部以外のOBOG、全て合わせて1万人もの人々がスタジアムに足を運んで応援したようです。対戦相手の応援団が300名ほどであったことを踏まえると、1万人という数字がどれだけ凄いかお分かりいただけるはずです。

では、なぜ1万人もの人々がスタジアムに足を運んでまで応援に来るのかというとそれは、母校への愛の表れであり、また市立浦和サッカー部への愛の表れではないかと思うのです。

前提として、市立浦和生は母校への愛が他の高校より強い(?)傾向にはありますが、もし現役のサッカー部のことを良く思っていなかったら、現役生たちはわざわざ応援には来ないと思いますし、また卒業生たちも、当時のサッカー部のことが嫌いでだったら、わざわざ顔も知らない後輩サッカー部の応援なんかしないでしょう。

市立浦和サッカー部は「愛される選手、愛されるチームになる」というスローガンを掲げています。そしてそのスローガンを代々実行しているからこそ、本日の応援者数1万人という数字につながっているのではないかと思うわけです。

たしかに、当時を振り返ると、サッカーのプレー以外にも、挨拶や授業態度、勤怠等の指摘を多くもらったことを思い出しました。

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↑「愛される選手、愛されるチームになる」をスローガンに掲げる市立浦和サッカー部(浦和フットボール通信)

以上つらつらと色々書いてきましたが、本当に市立浦和はいい高校だなと思った次第です。笑

これからも、市立浦和サッカー部が多くの人から愛されることを願いつつ、そんなことを僕が願うまでもなく、代々受け継がれていくんだろうなと思っています。